ボア・タルドゥ!
ポルトガルの首都リスボンには、いろんな国の人が住んでいます。中でも多数派はブラジル人。同じポルトガル語ネイティブでありながら、ポルトガル人とは雰囲気や話し方が全然違うので、結構すぐわかります。
もちろん個人の性格によりますが、私が思うステレオタイプでは、ブラジル人は笑顔で人懐っこい、ポルトガル人はシャイで心を開くのに時間がかかる印象です。
今日は、ポルトガル🇵🇹とブラジル🇧🇷のポルトガル語の発音の違いを解説している動画を紹介します。発音の違いも参考になりましたが、動画に登場するポルトガル人🇵🇹とブラジル人🇧🇷の表情や雰囲気、思わず出てしまった本音がとても興味深かったです。
国民性?キャラの違いが面白い
ポルトガルとブラジルの両国でポルトガル語を学んだイギリス人女性の動画です。ネイティブ・スピーカーとして、ポルトガル人🇵🇹とブラジル人🇧🇷も登場します。
まずはご覧ください(↓)
European Portuguese vs Brazilian Portuguese Pronunciation EXPLAINED!
以下、私が特に気になったポイントを解説します。
“原始人 ”スタイルって・・・😂
以前、ポルトガル語🇵🇹の「e」の発音に関して記事を書きました(↓)
つづりに「e」があると、ローマ字読みに慣れている日本人としては、どうしても「エ」と発音したくなります。しかし、ポルトガル🇵🇹のポルトガル語には、「e」、「ê」、「é」と3つの異なる母音があるんです!
この動画で1番最初に触れているのが、アクセントマークのない「e」。この発音が実はとてもややこしい。なぜなら「エ」とは、まったく違う音だから。あえてカタカナにするなら「ゥ”」。口を少しだけ開けて、喉を鳴らす感じ。動画に登場するポルトガル人は、この発音を「caveman style(原始人のような)」と表現しています。上手いこと言うな〜〜〜😂
一方、ブラジル🇧🇷のポルトガル語で「e」は「i (イ)」の発音に近いとのこと。
例をあげると、日本でもお馴染み「郷愁、憧憬、思慕、切なさ」などと訳される「Saudade」。カタカナでは「サウダージ」と表記されることが多いですが、これはブラジル🇧🇷の発音を元にしているのでしょう。まれに「サウダーデ」も見かけますが、ポルトガル🇵🇹の発音なら「サウダードゥ」がよりしっくりきます。
わかりやすいブラジル🇧🇷の発音
動画の中で、ブラジル人が「よくからかわれる」と言っている、いかにもブラジル🇧🇷的な発音がいくつかあります。それが「d」と「t」。代表的な例をあえてカタカナにすると以下のような単語があります。
おはよう:Bom dia ボン・ジーア🇧🇷 ボン・ディーア🇵🇹
こんにちは:Boa tarde ボア・タルジ🇧🇷 ボア・タルドゥ🇵🇹
みなさん!:Gente! ジェンチ🇧🇷 ジェントゥ🇵🇹
ちなみに、「ジ」や「チ」という発音は、ポルトガル🇵🇹のポルトガル語にはありません。
ブラジル人はお祭り騒ぎ!?
さらに、ポルトガル人🇵🇹がブラジル人🇧🇷のポルトガル語を「Festive(お祭りみたいな)」と表現しています。私のポルトガル語の先生も「ブラジル人は元気いっぱいに話す」って。これはかなりうなづけます。
その国民性から生まれたであろうブラジル的🇧🇷表現が「Feliz como o pinto no lixo」。「ゴミの中でバタバタしているヒヨコくらいうれしい」という意味だそう・・・。ん?つまり、「最高にハッピー」ってことです。
それを聞いたポルトガル人🇵🇹の「ゲッ」っていう表情が私的にはツボでした。ポルトガルの人は自分を俯瞰で見るところがあるので、すぐに我にかえり「ここ、ゴミの中やんか💦」→「よろこびすぎて恥ずかしいわー💦」ってなりそうな気がします。
誰もが気になる「シュ、シュ、シュ」
ポルトガル🇵🇹でポルトガル語を聞くと、「s (シュ)」という発音が多用されることに気がつくと思います。これは、ブラジル🇧🇷のポルトガル語との大きな違い。単語の最後にくる「s」はもちろん、子音の前にくる「s」も「シュ」と発音されるそう・・・。
おめでとう:parabéns パラベンシュ🇵🇹 パラベンス🇧🇷
スペイン:Espanha ゥシュパーニャ🇵🇹 エスパーニャ🇧🇷
一方、ブラジルの大部分では「s」は、「ス」と発音されますが、リオデジャネイロでは「シュ」と発音されるそうです。
この「シュ」に関しては、私も含めて外国人が「シュ、シュ、シュ・・・」とポルトガル語のマネをするのをよく見かけます。それほど、特徴的で耳に残る音なんでしょうね・・・。
ポルトガル語🇵🇹が正しいの!?
この動画で1番気になったのが15分26秒あたり。ブラジル人女性の父親🇧🇷が「fechar」という単語をポルトガル🇵🇹と同じく発音をするというコメントに対し、ポルトガル人男性が「それが正しい発音だね」と言い、ホストの女性に「正しいも、間違いもないわ」とたしなめられます。
こ、これは、巷でささやかれている「ポルトガル人はブラジル人のポルトガル語を正しくないと思っている」というステレオタイプでは!? 思わず「本音が出ちゃったね〜〜〜😆」とツッコミたくなりました。
いずれにせよ、言語は、地理的条件や歴史、国民性や文化などが強く深く影響するはずなので、元は同じでもポルトガル🇵🇹とブラジル🇧🇷のポルトガル語が変化して異なるものになったのは不思議じゃないです。
いろいろあって微妙な関係・・・
そして、両者はお互い気になる微妙な関係って気がします。
ブラジル人の友達は「ブラジル人は“ポルトガル人はお人好し”って馬鹿にしてる」って言っていたし、小さい頃、両親とブラジルから移住してきた友達は「ブラジルの親戚や友達にポルトガル人みたいに”スカしてんじゃないわよ”言われるんだ・・・」と微妙な表情。さらに、20年以上ポルトガルに住んでるというブラジル人は、「ポルトガル人はブラジル人が嫌いなんだよ・・・」なんて言ってました。
そうかと思うと、ポルトガル人は、「Google翻訳といい、世に出てるポルトガル語はほとんどブラジルのもの」、「世界ではポルトガルはブラジルの一部だと思われてるわ」なんて自虐的な発言も多い。一方で「ポルトガルのポルトガル語は本当に美しい」と誇らしげな時もあります。
うーん、なんだか複雑・・・。ま、近しい関係だからこそ、いろいろあって当然ですね。
私は、フレンドリーで元気なブラジル人も、ちょっと悲観的で人の良いポルトガル人も好きです!
*記事中で、ポルトガル語の発音を便宜上カタカナで表記していますが、正しい発音は『FORVO』などで確認することをおすすめします。
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