ボン・ディーア!
リスボン外出自粛生活41日目。
数日前、ポルトガルのテレビで、新型コロナウイルスで家族を失った女性が、引き留める警察官を荒々しく払いのけ(殴り飛ばし)、病院に駆け込むシーンが流れていました。家族が重篤でも、亡くなっても、会うことができない・・・それがこのウイルスがもたらす最大の悲しみかもしれません。
もし、私が彼女の立場だったら、錯乱して同じように暴力的になっていたかも・・・。そして結果、殴られたにもかかわらず、彼女の後を追う警察官も、また彼女の悲しみを理解しているように見えました。
心が締め付けられる一方で、もしこれがアメリカだったら、彼女は銃で撃たれていた可能性もなきにしもあらず、と思いがよぎりました。
数か月、遅れていたら・・・
現在、ポルトガル・リスボンで不自由ながらも平穏な日々を過ごしています。もし、数か月ポルトガルに来るのが遅れていたら、アパートが決まらず露頭に迷っていたかもしれない、夫の仕事が滞っていたかもしれない、こちらの生活で右も左もわからず今よりずっと不安だったかもしれない・・・。
さらに、ポルトガル移住の決断と準備の時期が少し遅れて、今もアメリカ・ロサンゼルスにいたとしたら、また日本へ帰国していたら、私たちの生活はどうだったろう・・・と想像することがあります。
以下の観点から、その違いを考えてみたいと思います。
- 精神的ストレス
- 経済的不安
- 治安悪化への懸念
仕事から受ける絶大なるストレス
ニュースや友人たちから見聞きする限り、カリフォルニアやロサンゼルスは、ニューヨークでのアウトブレイクを真剣に受け止め、感染拡大防止のために迅速で画期的な対策を講じていると思います。
一時期、コストコに殺到する人々やスーパーからトイレットペーパーが消えたことなどが取り沙汰されていましたが、今は落ち着いているようです。夫婦二人だし、住み慣れたカリフォルニアでなら、行動規制があっても精神的には大丈夫だったはず。
その一方で、もし、私が仕事を続けていたら、人事部に所属していたので、従業員の不安と不満が爆発し、会社との狭間で多大なストレスを抱えていたに違いありません。しかし、アメリカは訴訟社会だし、安全第一が根付いているので、おそらく早い段階で在宅勤務に切り替えられ、同僚などに直接会うこともなかったかも・・・。
また、日本にいたら、仕事にもよりますが、在宅勤務ができない、または許されない仕事だったら、どうしてただろうと怖くなります。テレワークが可能であれば、もちろん上司を説得したと思います。それでも許されない場合、休みを取るか、退職してたかもしれません。
いずれにせよ、現在、静かに自粛生活が遅れているのは、夫がすでに確立された環境での在宅勤務で、私が仕事をしていないからだと思っています。
アメリカでは経済的不安大
アメリカ企業に勤めていたら、コロナの影響でレイオフされる可能性が大きいかったと思います。アメリカ人は良くも悪くも決断が早い。さらに「仕事を失う=医療保険も失う」ということ。住居費、医療保険など、生活固定費が日本やポルトガルに比べ、はるかに高額なカリフォルニアにいたら、きっと経済的・精神的ストレスは計り知れなかったでしょう。
同時に、夫は20年以上、私も10年以上、税金を納めてきた国ですから、補償といった点では、浦島太郎状態(夫に至っては外国人となる)の日本よりは、条件が良かったかもしれません。アメリカにいる日本人の友人たちも、一人1,200ドルの小切手または銀行振り込みをすでに受け取っているようです。
では、今ポルトガルで夫が仕事を失った、または日本にいて収入がなくなった場合は、どうでしょう・・・保証がなく不安はあるものの、生活費や医療費が高くない分、しばらくはこれまでの蓄えで生きていこうと開き直る余裕を持てたような気がします。
多様性こそアメリカの強さでありもろさ
パンデミックで、経済が悪化すると、それに伴い治安の悪化が心配です。
カリフォルニアでは、銃や銃弾を買い求める人が銃器店に列を作っている様子が報道されました。
最近では、外出自粛政策に反対し、自由を求める反対運動(デモ)が起きています。マスクも着けず、たくさんの人が集まって大きな声を出す・・・飛沫がたくさん舞っていそうです。
もちろん、科学的な根拠に基づいた政府や州の方針にしたがって、外出自粛している人がほとんどだと思います。
様々な人種、宗教、信念、価値観・・・多様性があるからこそ、実力主義が成り立ち、それこそがアメリカ最大の強み。しかし、今のような国難にぶち当たった時、足並みを揃えることが難しいという、諸刃の剣でもあるのです。
学校閉鎖により、発砲事件がなかったという皮肉(↓)
日本やポルトガルは得意なはず!
その点、島国で世界でも珍しいほどの団結力がある日本。領土の奪い合いが絶えなかった欧州で、9世紀にわたり現在の国境を死守してきた奇跡のポルトガル。慈しみ深さや忍耐力が強みなのが共通しています。
そんな日本やポルトガルにも残念ながら、不逞の輩はいます。でも、ごくごく少数だと思うんです。一部の輩に惑わされることなく、良い方向に目を向けて、自分たちのスタンダードを守っていきましょう。
そして、ウイルスの感染が落ち着いてきた時のために、ウイルスと共存しながら、どう経済活動を再開するか、政府や会社任せにせず、みんなで考えていかなければなりませんね。